創作し表現するということについて、私が作品を作ったとしても作らなかったとしても、本質的には私自身の生、身体は何も変わりませんし、また創作行為や作品によってこの世界が変わることもありません。
本質的にはだれしもが匿名であり、名前や肉体の個別性は記号でしかありません。人の生においてただ生きているだけでは(何の痕跡も残さないのであれば)何もなかったことと同じです。
ただ、自然な営為として人は感じ、考えることによって、常に何らかの形でこの世界にフィードバックしています。
自分にとってはそのフィードバックのひとつが創作すること、表現することなのです。宗教が教会という建造物によってその世界を具現化したように、私が作品を作ることは現代の自分の生きている時間(その文化、世界を基盤とした上においての)を通して、ひとりの人間として私自身の思想や観念を具現化していこうとする行為になのだと思います。
1975年7月14日
(2024年10月30日追記)